おざわ歯科 / 院長ブログ
2022-11-10
私の考える予防歯科とは?
カテゴリ:
歯科の話
昨今、予防歯科を標榜する歯科医院が増えてきました。
「悪くなる前に予防することが重要。」
「予防に勝る医療はない。」
「虫歯の治療(詰め物や被せもの)は永久に持つわけではないから、しっかり予防しないとまた悪くなる。」
「歯周病に完治はないので、継続的な管理が必要。」
などなど
おそらく予防歯科に力を入れている病院に通院している方であれば、このような説明を受けることがあると思います。
これらの説明に私としても、当院としても、全く異論はありません。
まさにその通りだと思います。
ただ
「ですので、口腔内の清掃状態(歯ブラシ、フロス、生活習慣など)が良くなるまで治療はしません。」ということには私は同意しかねます。
なぜなら、治療を早く進めないとどんなにお掃除を頑張っても悪くなっていくことを止められない場合も多々あるからです。
また、この「清掃状態が良くなるまで治療はしません」という発想は論文的な根拠はあるかもしれませんが、患者様の考え方や生活習慣や価値観などを完全に排除し、「~でなくてはいけない。」「~すべきである。」という一方的な価値観の押し付けであると、私は感じてしまうからです。
「痛いところがあるから治してほしい。」
「違和感がある。」
「詰め物が取れた。」
患者様はいろいろな主訴で来院されます。
まずは主訴をしっかり聞いて、口腔内全体の状況をしっかり説明し、原因を考え、しっかり治療する。
「気になるところを直してほしい。」 これは患者様として当然の主張だと思っているからです。
※ただ、口腔内全体の状況を考えた時に、そこだけ治してもあまり意味がないということもあります。その場合は、口腔内全体の状況説明や治療方針についてしっかり説明させていただき、本当にそこだけの治療でいいのか、時間(や費用)がかかっても全体的にしっかり治療をしたいのかをしっかり考えてもらうようにしています。
気になるところについてしっかり説明し、しっかり治す。そのうえで、この来院されたことをきっかけに自分の口腔内の状況や、今後の口腔内の変化、虫歯予防や歯周病予防について知り、考えるきっかけを持ってもらうこと、これが予防に一番大事なことだと考えているからです。
ストイックに歯ブラシやフロスや歯間ブラシや生活習慣を徹底的に改善できる方は素晴らしいと思います。そのような方にももちろん当院は全力でサポートさせて頂きます。
ただ、お口のお掃除が大事なことは分かっているけども、なかなか毎日時間をかけて徹底的に自分で管理するのは難しいと感じられている方、虫歯予防には甘いものは駄目だと知っているけど少しは楽しみたいと感じられている方。いろいろな価値観があって当然ですし、その方に合った予防方法があると私は考えています。
正直言って、いろいろ勉強して一般の方よりも予防の知識のあるはずの私だって、毎日毎食後10分以上歯みがきして、フロスして、歯間ブラシしている訳ではありませんし、甘いものだって食べます。間食もします。
ダイエットと同じで、患者様のペースで、患者様の希望に応じて、患者様に無理のない範囲で、QOL(生活の質)を下げないように緩やかに継続的にやっていくのが一番有効な予防ではないかと考えているからです。
「自分では完全には管理できないから定期的に歯科医院通ってお掃除してもらう。」という方も当院にはたくさん来院されています。
自分でしっかり管理できるようになればそれが一番いいですが、無理せずうまく歯科医院を活用していただければ、それも1つの予防歯科だと思います。
私が今、言いたいことは
予防は大事です。が、治療も大事です。
悪いところはしっかり治して、口腔内の環境をしっかり改善し、その上で、新しい虫歯を作らないように、歯周病を進行させないように、無理のない自分のペースで、歯科医院をうまく活用して予防していくことが、本当の予防歯科だと考えています。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
みなさまが予防歯科について考えるきっかけになれば幸いです。